大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成6年(ネ)872号 判決

最初に、本件について、我が国の裁判権が及ぶか否かについて、検討する。

国際裁判管轄については、これを直接規定する国内法規もなく、また、よるべき条約も一般に承認された明確な国際法上の原則も未だ確立していない現状のもとにおいては、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがって決定するのが相当であり、我が民訴法の国内の土地管轄に関する諸規定その他民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは、当該訴訟事件を我が国の裁判権に服させるのが右条理に適うものというべきである。

ところで、前記認定事実によれば、控訴人と被控訴人との接触は、専ら日本で行われていたこと、本件消費貸借の合意自体は我が国においてなされ、その返済も、当初から日本においてなされることが予定され、その後、日本において日本円でなされることが合意されたことが明らかであるから、本件消費貸借の義務履行地は日本国内にあることになる上、控訴人にとって、我が国は、居所とまではいえないにしても、少なくともその活動拠点の一つであったことに照らせば、控訴人は、シンガポール共和国に国籍及び住所を有する者であるけれども、本件訴訟に関しては、控訴人をして我が国の裁判権に服させるのが相当である。

(町田 高柳 中村)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!